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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2008年08月03日

小泉劇場の閉幕

ヒット商品応援団日記No288(毎週2回更新)  2008.8.3.

このブログを書き始めてからほぼ3年になる。以前お世話になった会社では若手に早朝勉強会を行っていたが、会社を辞めさせていただいた後も、早朝勉強会の代わりにと考えてこのブログを始めた。マーケティングの会社であったので、固有な語彙を使い、理解しづらい文章や内容であったと思う。当時はブログへの認知度も低く、おそらくサイト数も100数十万程度であったと思う。今や休眠ブログを入れれば、ネット上には2500万ほどのブログが存在している。アクセス数も3年前は1週間で70程度であった。勿論、その多くは何らかの知り合いによるものであった。今はと言えば、途中から複数の地域ブログなどに同様の内容を掲載しているが、それら全てを足し算すると1日150〜200のアクセスとなり、3年累計で142,000アクセスとなった。理屈っぽい専門的な内容ばかりであるが、私自身を含め、勉強し続けなければならない時代である。その理屈っぽさは私自身にとっても勉強中であり、咀嚼の足らなさをどうぞお許しいただきたい。また、かなり専門的なテーマにも関わらず、約40%の方が定期的にブログを見ていただいており、改めて御礼申し上げたい。

ところでブログを書き始めた3年前、友人である新聞記者から、当時の小泉総理による解散・総選挙はあるかどうか聞かれたことを思い出す。私は実施すると思いますよと答えたが、その理由として、小泉ブランドという商品のライフサイクルを見ていくと、ここら辺りでブランド再生のために思い切ったパフォーマンス=解散総選挙をしないとブランドとして存立できなくなる。つまり、支持率推移を売上推移と見ていくと、ブランドとして、特に情報商品のマーケティングとして考えた場合強い情報刺激を必要としている時期であると。私の指摘通り、解散総選挙が実施されたが、小泉内閣は選挙戦において徹底した情報マーケティングを行った。そのキーワードが周知の「サプライズ」であり、「小泉劇場」である。劇場という舞台で、次々と繰り広げられるサプライズ。こうした期待を刺激し続けるマーケティングは、いわゆるトレンドマーケティングそのものである。ちなみに、トレンドマーケティングと対比するものがロングライフマーケティング、ベストセラーに対するロングセラーということだ。

3年前の総選挙とは異なるが、福田内閣が内閣改造を行った。表向きは生活者目線での改革続行を明確にするためとのことだが、マーケティング的に見ていくとどうなるか、3年前と同じようにマーケティングの視点にて、私見を書いてみたい。
まずブランドポジションであるが、失礼ではあるが福田ブランドとしては確立はしていない。というよりブランド戦略を採ってはいないということである。劇場的手法は勿論のこと、改造された内閣=コンテンツもそれほど新しさというニュースはない。逆に、陣容を見れば分かるように保守回帰、自民党にとっては原点回帰と言えよう。つまり、勿論サプライズもないということである。小泉政治とは真逆の内容・方法論と言えよう。サプライズに対するキーワードを言うならば、実行・実現ということとなる。プロの政治評論家にとっては玄人好みのようであるが、良否は別にして支持率は人気投票の側面を持つ。小泉人気は興味関心を映し出すランキングマーケットと同じである。いずれにせよ、結論から言うと、今回の改造内閣は小泉劇場の終焉を実質化させたということだ。

さて顧客である有権者はどうかであるが、既に1年前の参議院選挙によって第一段階の答えが出た。改革を叫べば票になるフェーズではなく、結果民主党が参院では第一党となった。その後、私は「サプライズの終焉」というキーワードで生活者の体験学習結果を書いたことがある。トレンドマーケティングに対する体験学習結果ということである。トレンドというニュースによって期待し、一度は体験・使用したいとするマーケティングは、一過性という課題を常に持っている。そして、ニュースという鮮度は時間の経過と共に色あせ、明確に2つのマーケットに分かれる。一過性という期待ハズレや全く違うのではないかという好きから嫌いへと振れる層。これらの層の多くは参院選において民主党支持へと動いたと思う。もう一つが今なお小泉復活を期待し続ける待望論のように、いつかは何かが起きるであろうと期待する層である。

さて今回の福田改造内閣は「5つの安心プラン」を実行・実現するとしている。「安心」という生活者の「内向き」に対応した政策であるが、「外向き」の政策はない。グローバリゼーションは今や生活にダイレクトなものであり、内も外もないことは全ての生活者の実感としてある。エネルギーを始めとした原材料高騰は生活へと直撃する。何かをしてくれるであろうという未来への期待値を持っているのがブランドとするならば、改造内閣はノンブランドであり、日々の実行力しかない。
劇場的手法の連続=過剰な情報刺激の連続に、騒々しいと感じる生活者が多くなっている。しかし、今なお劇場化社会で生活しており、小泉劇場の残像は色濃く残っていることも事実である。恐らく今日あたりからマスコミ各社の福田改造内閣支持率が発表されるであろう。政治評論家のようなことは言いたくはないが、恐らくメディアにもよるがある程度の支持率アップとなり、総選挙に向かうことになると思う。(読売新聞41%へ好転、朝日新聞24%横ばい)そして、昨年民主党が勝利した「生活の実質価値提案」と真正面からぶつかることとなる。ただ、グローバリゼーションの時代にあって、新しいパラダイム・価値観を提示し合う構想力の競争であって欲しい。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:57Comments(0)新市場創造