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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

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2008年06月15日

継承されるデザイン/ティファニー

ヒット商品応援団日記No274(毎週2回更新)  2008.6.15.

日本におけるティファニーは「TIFFANY Blue&Silver」というキーワードと共に、あのオードリーヘップパーンによる「ティファニーで朝食を」で広く認知されてきたブランドである。しかし、これほど「デザインポリシー&スタイル」が受け継がれ、そして磨かれ、しかも時代の求める「美呼吸」とでも呼べる在り方を示したブランドはティファニーだけと言えよう。受け継がれる「時を超える美」と呼吸する「時代と共にある美」が、たった一人のデザイナーによって融合する世界。それがティファニーである。

ティファニーは1837年ニューヨークに小さな「ファンシーグッズ&ステーショナリー」の店としてスタートする。そして、1845年にはクオリティの高いジュエリーショップとして、アメリカで認知され始める。こうしたティファニーが世界に認められる機会となり、そして今日まで受け継がれてくる「デザインポリシー&スタイル」の創始者は、天才ポールディング・ファーナムであった。ポールディング・ファーナムは創業者チャールズ・ルイ・ティファニーの良き支援を受け、次々とジュエリー業界にそのデザイン旋風を巻き起こしていく。

ファーナム29歳の時、1889年パリ博覧会に出店するが、その精緻なデザインと今日受け継がれ、その頃TIFFANY BLUE & SILVERが登場する。そして、当時のジュエリーは、ブローチや髪飾りが中心であったが、その象徴である蘭をモチーフにデザインする。当時、「健康とプレステージ」のシンボルとして一大フィーバーが起こった。以降、世界の博覧会やコンテストにおいて、12以上の賞を獲得し、その完璧なデザインが世界に知れ渡ることとなる。
ファーナムが48歳でティファニーを辞めるまで、次々と以下のようなテーマをもって、世の中へと提供し、今日のティファニーデザインの基礎を創ることとなる。
 【Native】【Orientalism】【Orchids】【The louis Rerival】【Vectorianism】
 【Native American Design】【The Renaissanu Rerival】
そして、メトロポリタン美術館から次のような賞賛が送られる。“最も偉大な生まれついてのアメリカが生んだジュエリーデザイナーである”と。

このようにファーナムは自身の興味領域であるNative(植物、昆虫等)からスタートするが、時代のもつ雰囲気や、社会的注目を集めているテーマに多彩に取り組んだデザイナーと言えよう。
1900年代、ファーナムの後を引き継いだのが統括デザイナー、ジュリア・マレソンであった。以降、アメリカの社交界ではティファニーとそのステイタスシンボルと共に、「美」のシンボルとしてもイメージされるようになる。

こうした美しさの“アメリカスタイル=ティファニースタイル”として確立される機会となったのが、1930年代のハリウッドスター達の愛用とPRであった。そして、1940年に、NY5番街がティファニーを中心とした本店の立ち並ぶショッピングストリートとなり、人々は“Woman's New York”と評した。
そしてティファニーを世界のブランド、最もアメリカらしいスタイルとして認知させたのが、あのオードリーヘップバーンによる「ティファニーで朝食を」(1960年)という映画であろう。こうしたパブリシティ活動もさることながら、アメリカの多くの著名人、セレブリティを使ったPR、特にミュージカル“キャバレー”のライザ・ミネリを使ってVogue誌の表紙を飾るなど、その完璧な「アート」を続々と送り続ける。

この時代の統括デザイナーはジョーン・ローリングが行っており、デザイン創始者であるファーナムの素描や作品を収集・整理し、次のティファニーデザイナーへと引き継ぐことを行っている。そして、1980年にパロマ・ピカソがデザイナーとしてティファニーに参画し、「時代と共にある美」が注目をあびる。このティファニーも、ある意味デザインポリシー&スタイルを継承している点で、シャネルとどこか似ている。シャネルについては日本語で書かれた著作も多数あり、その変遷をビジュアルで見ることができる。ティファニーの場合はほとんど無いが、洋書ではティファニーの変遷をビジュアルで見ることができる。著作権の問題でブログには公開できないが、そのデザインビジュアルに触れていただければと思う。
次回はクオーツという画期的な技術導入がなされ、そのクオーツを世界に送り出した「日本市場」において、今なお根強い人気を保ち続けているブランド・ロレックスを取り上げてみたい。時代の変化を取り入れながら、しかし、ロレックスにおいても時代を超えるものは、その挑戦者としてのポリシーであった。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:52Comments(1)新市場創造