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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2008年02月15日

時間消費の今 

ヒット商品応援団日記No241(毎週2回更新)  2008.2.15.

ここ数回「物語消費」の変化について書いてきたが、物語(情報)と共に重要な消費キーワードとなっている「時間」についてその傾向を書いてみたい。数年前から、その芽は出てきていたのだが、早朝・深夜に新しいビジネスの芽が出てきている。先日もニュースに取り上げられていたが、自宅で朝食を摂らずに勤務先近くでとる傾向から始まり、早朝の英会話学習やセミナー受講といった自習時間に充てる。こうしたサラリーマン&OLをソトアサ族と呼んでいる。勿論、こうしたビジネス時間の前後に現れてきた傾向は深夜時間でも同様であるが、深夜時間にはミッドナイトシアターやコンサートなど旧来の休日自由時間での遊びを充てている。昨年、オープンした新丸ビル7階のレストラン&バーは28:00まで営業しており、周辺のサラリーマン&OLで今も一杯である。(http://www.naka-dori.jp/event-campaign/midnightgourmet/)丸の内周辺は24時間化が進行していると言えよう。

こうした圧倒的なスピードで進んでいくビジネス時間(社会時間)に対し、その揺り戻しとしてスローライフ(自由時間・自然時間)が注目されてきた訳である。今、都市生活者にとって日常的課題が、こうした社会時間と自由時間との境目が無くなり、心も身体も切り替えがうまくいかなくなっている。つまり、自宅に帰ってもスムーズに眠ることできずに、結果不眠という症状に現れ、枕から始まる快眠グッズや睡眠導入剤は今も変わらず売れている。以前、「境界」という概念で、新しい市場の芽について書いてきたが、日常における社会時間と自由時間との「境界」でも同じである。
こうしたライフスタイルを変えることを意図して創られているのが、東京湾岸に立ち並ぶ高層マンション群である。コンセプト的に言うと、「シティリゾート」となり、ウイークデーは都心まで数分から数十分という立地でビジネススピードに対応し、ウイークエンドは湾岸という自然を相手にリゾートを味わうということだ。

こうしたビジネス時間と自由時間という対比と共に重要となっているのが、家族との時間である。以前、「個族」という個人化社会について書いたことがあるが、このつなぎ直しが始まっている。飲食サービスで特徴なのが、「個室」の有無で、流行っている店の多くは個室が用意されている。今や個室は家族ばかりか、仲間内での飲食においても基本サービスとなっている。個室が家族時間、仲間時間を創っているという訳だ。
昨年、お一人様歓迎というサービス、「ヒトリッチ市場」について書いたことがあるが、こうした傾向は今も続いている。この仲間時間という意味は、その時集まる時間であり、「その時仲間」、「この時個族(ひとり)」のように、時間割としてうまくプログラム化しているということだ。この仲間時間をクラブ活動として運営し、成功させているのがABCクッキングスクールで、単なる料理教室ではない。

ところで、関係性が切れた時代にあって、全てが「内側」へと向う。作家五木寛之は、昭和が躁(そう)の時代だとすると、平成の今は鬱(うつ)の時代であると言っている。そして、逆に鬱を楽しむ知恵をつけなければならないとも指摘している。私流にいうと、内観、自らを見つめるということだ。つまり、静かなブームとなっている禅寺での座禅や熊野古道を歩き宿坊に泊まる、といった「内観時間」、こころを浄化させる時間消費である。もっと日常的に発想すれば、例えば蝋燭のような炎やお香のような深みのある香りに包まれる時間ということになる。こうした「内観時間」は一種の自己防衛であり、自己免疫的作用と言えなくはない。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:13Comments(0)新市場創造