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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2007年10月31日

大人の時代の消費

ヒット商品応援団日記No215(毎週2回更新)  2007.10.31.

このブログで偽装という情報の嘘がこれからも出てくるだろうと言っていた通り、船場吉兆や赤福の代替土産として売上急増中であった御福餅も赤福同様の偽装との報道。ブランドへの信頼があつければあついほど、振り子のように大きく不信という反対側へと振れる。これも情報の時代の特徴である。ブランドは自らの実体験、使ってみて、食べてみて、ここが自分は好きだという本来の生活実感物語へと移行していくであろう。情報によって外側へと向かっていた心理は、内側へと、自分が本当にそう思う世界へと向かっていく。

また、情報価値が相対的に下がり、物価値が復権し、バランスの良い価値評価が生まれてくる。長年食べ続け、着続けても飽きのこないもの、手に何となくしっくりとする、わくわくどきどきはしないが何となく落ち着く、そんなものへと消費は移っていく。フェイク、もどき商品も明確に表示され、美味しいと実感できれば逆に良いヒット商品となる。そもそも、日本の精進料理の多くは大豆を使った肉もどき食品である。そのような体験を積み、嘘を見抜き、一見どこにでもあるように見える職人技、経験者ならではの小さな知恵や工夫に注目が集まることとなる。数年前から言われ続けて来たが、やっと大人の時代がくる。

さて、この「大人」とはどんな世界なのかである。団塊世代を含むシニア世代にとっての「大人」とは、5得を持った世界のことである。時間持ち、金持ち、友持ち、物持ち、経験持ち、の5得の世界だ。しかし、同時に失ったものもあり、若さ、美しさ、パワー、あるいは子供心、遊び心、といった世界を取り戻す世界も含まれる。少し前にちょいワルオヤジというキーワードが流行ったが、これは40代男性が上の世代50〜60代のような遊び心を取り入れたいというシニア世界の素敵さを鏡の如く反射した世界の良き事例である。

団塊の世代を例に挙げると、60代に達し、「先」が見え始めてくる。先が見えるとは我欲が少なくなり、その分公や他者への貢献等が芽生えてくることとなる。そして、自己が他からどのように認識されているかを知る時を迎える。つまり、60年間の人生は「塊」を分化させ「個」へと立ち戻らせ、自己客観化の時を迎えることでもある。第二の人生のスタートにあたり、過去に遡り未来をシュミュレートする。そうした意味において自己表現としての「新しいライフスタイル」が生まれ社会へと映しだされる。これが「大人の時代」の意味である。
800万人ほどの団塊世代はその「量的」なことも含め、他の若い世代へと鏡の如く反射し、消費の潮流を創る。これが世代を超えて言われている「大人の時代」の消費の本質である。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:09Comments(0)新市場創造