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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2007年10月10日

振り子と中心点

ヒット商品応援団日記No209(毎週2回更新)  2007.10.10.

少し前に振り子消費について書いた。情報によって振り子のように揺れ動く心理による消費傾向から脱却し始めているという指摘であった。勿論、トレンドという情報刺激による商品は続いていくが、以前のように右往左往しないということである。ただ消費面だけでなく、多くのところでこの振り子現象が見られ、それらを踏まえ考えてみたい。
ここ10年ほどの振り子の動きが大きかったのは、やはり洋から和への動きであった。特に、昭和を始めとした和回帰、あるいは囲炉裡のある温泉宿や古民家やそこで使われていたインテリア&雑貨への注目。多くの現象の中でも、和食への関心が大きかったことは周知の通りである。こうした和の世界の中心点を言い当てることが、次の商品開発、業態開発のテーマとなっている。

しかし、振り子は中心点を目指すが、同時に外へと振れるものである。5年前、10年前の外(洋)の振れ方とは異なる。例えば、5年ほど前にブームとなった中国茶はどうなっているであろうか。ウーロン茶程度しか認識のなかった中国茶であったが、その奥行きやスタイルへの興味を入り口にブームは一巡し、消費は好きな人達だけに収束した。ところで、次なる外への振り子の振れ方であるが、中国茶とお菓子という新たなカフェ&ケーキ業態が出て来ている。東京の白金にある広東シノワーズの「白金亭」の1Fにある「SHIROKANETEI」である。(http://www.shirokanetei.com/cafe/
ここでは紹興酒や鉄観音など中華素材を使った洋菓子ティールームで、漢方フレーバーティーもある一種の進化系の芽ではないかと思っている。いわゆる中国素材を使った洋風ケーキといった、中国と洋とのフュージョンスタイルである。和の素材を使った洋ケーキと同じ発想である。

一方、和志向・中心点における消費行動は、3年前の柳澤桂子さんの「生きて死ぬ智慧」や「えんぴつで奥の細道」のベストセラーに代表されるように、以降日本の精神文化へと中心点が向かっているように思える。変わらぬ静かなる禅ブーム、宿坊顧客の増加、精進料理への注目。あるいは阿寒グランドホテル鶴雅におけるアイヌ文化の取り入れに代表されるように、地域の固有な風土、文化への着目。こうした和の精神文化を取り入れていく傾向が強く表れて来ている。こうした傾向は、グローバリズムという大きな嵐、外へと振れ過ぎたことに対する振り子現象の一つであろう。
また、このグローバル市場という視点で見ていくと、欧米を中心にアジア諸国の日本食レストランブームに象徴されるように日本文化という外へと振り子が振れていると見なければならない。一時期、中国に製造工場を移転し、より生産コストの低いベトナムなどの地域に移動といったことが行われてきた。今や、欧米を中心にアジア諸国へと日本文化を輸出する時代となった。その時一番大切なことは、輸出する企業が本当に日本の精神文化を理解しているかである。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 09:38Comments(0)新市場創造