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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2007年09月16日

食文化輸出の時代

ヒット商品応援団日記No202(毎週2回更新)  2007.9.15.

顧客は興味を入り口に体験を重ね、学習し、好きを深め、成長していく。多くのマーケッター、ビジネスマンは、顧客は「今、どのあたりにいるのか」を見極めるのが最大の仕事となった。私はこうした変化をここ数ヶ月、洋から和へ、ヘルシー系からガツン系へ、表通りから裏路地へ、非日常から日常へ、構えたフルコースの食事から気軽に好きなものをチョットづつへ、といった視座で変化のありようを書いて来た。そして、こうした消費の変化を「振り子消費」と呼んでみた。「受け身的」消費から、「能動的」生産者への成長と言うこともできるし、素人消費からプロ消費への変化と言うことも出来る。

こうした変化の事例として「食」を取り上げることが多いが、それは食がライフスタイルの中に取り入れやすく、変化の芽が現れやすいからである。ところで、日本人の国民食は、なんと言ってもラーメンとカレーライスであろう。それぞれそのルーツとは似て非なる日本固有の食となっている。こうした成熟したラーメンという市場を見ていくと、ある意味日本の食のあり方の縮図となっていることが分かる。行列のできるラーメン店ランキングやご当地ラーメン巡りは一巡し、女性好みのヘルシーで美容に良いコラーゲン入りのラーメンがあったり、若い学生向けの特盛りガツン系ラーメンもある。懐かしい昭和を想起させる和風ラーメンもあれば、スープパスタのような洋風ラーメンもある。表メニューのラーメンの他に、金曜日だけ会員50名だけの限定裏メニューである創作ラーメンを出す店も出て来た。あるいは米国人であるアイバンオーキンズさんによる「あいばん」というラーメン店もある。イタリアンやフレンチ、あるいは和食で修行した若者がラーメン好きが高じ、ラーメンの作り手へと変わった店も数多い。いわゆる個人ベンチャーである。そして、横丁、路地裏といった空き店舗からスタートし、口コミで顧客が増えていくといった市場となっている。つまり、成熟市場とは、顧客自身が成熟した市場ということだ。

このようにラーメン市場はいわゆる成熟した市場特徴を良く表している。100人のラーメン店主がおり、100の個性ある味を楽しむという多様な違いを楽しむ個性市場である。こうしたラーメン市場も海外の人にとっては未知なる食であり、ここ数年米国や東南アジアへの進出が盛んである。国内市場は個性競争という極めて厳しい市場環境となっているが、米国や東南アジアはいわば未開拓市場となっている。日本国内の成熟した顧客にもまれた「日本食」は海外において通用するだけでなく、高付加な高級食として実施されている。
このブログでも随分前に世界の日本食ブームを取り上げて来た。村上龍さんが主宰するJMMの寄稿者の一人米国在住の冷泉彰彦さんはそのレポート(2007年9月1日発行/国境を越える味覚)の中で、NYのレストランでSUSHIBARが何故他の外国レストランと比較し高額な料金を払ってでも食べにくるか、その主要な理由の一つに日本という異文化への興味と一種の賞賛があると書いている。先頭を走る寿司からラーメンまで知恵や工夫が詰まった「日本食」は輸出産業になっているし、これからも伸びていくと思う。食=モノ輸出は結果で、食=日本文化輸出といった方が正確であろう。前回書いたようにコラボレーションによる新市場創造と共に、アニメや漫画といったサブカルチャーだけでなく、地域活性を含め食文化輸出が大きなテーマとなっている。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:46Comments(0)新市場創造