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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2007年09月09日

情報引力

ヒット商品応援団日記No200(毎週2回更新)  2007.9.9.

前回は生活者の興味や関心といった「テーマの中心点」について書いてみたが、今回はその延長線上にある「情報の中心点」について考えてみたい。以前、東国原知事就任直後「できればもう1局TV局を増やして欲しい」と発言していたが、至極当然のことだと思う。情報量が圧倒的に東京と地方では違う。それはTV局の放送時間量、新聞各紙の紙面数、ラジオ局の放送時間量、雑誌のページ数、こうしたマスメディアばかりか都内で配られる無数のフリーペーパー、といったメディアの種類も数も圧倒的に異なっている。
ここでいう情報量とは情報理論でいうところの選択情報量のことで、興味や関心といった「新しさ、面白さ、珍しさ」といった「あまりない、ほとんどない」情報を情報量という。各メディアは生活者の興味の中心点を目指し、「新しい、面白い、珍しい」情報を求めて、激しい競争を繰り広げこの情報量の最大化を目指している。こうした情報の持つ力、情報に引き寄せられるメディア社会の特質を情報引力と呼んでみた。こうした中で「やらせ」や「情報偽装」も生まれ、その過剰情報の直中にいるのが都市生活者である。

こうした情報の絶対量と共に、情報の本質は変化と鮮度であり、スピードと回数こそが命である。情報はTVメディアばかりか、人やモノを通じても伝わっていく。人の移動時間によっても情報量は異なってくる。こうした意味も含め、情報の集積量を考えると東京はあらゆるものを吸引する中心点となっており、地方から世界からの都市観光も盛んだ。東京が持つ「新しい、面白い、珍しい」情報が観光消費されている訳だが、反対に都市生活者にとって「地方」は未知そのものとしてある。つまり、地方が持つ固有な情報は過剰な情報が行き交う中にあっては、ほとんど伝わっては来ないということである。
以前から注目はしていたのだが、オープン直後はこうした観光客が押し寄せたこともあり、詳しく情報が得られなかったが久しぶりに東京ミッドタウンに行って来た。そのショップはメイド・イン・ジャパン・プロジェクト社による「THE COVER NIPPON」(http://www.thecovernippon.jp/top.html)である。私の言葉でいうと、地方に埋もれた文化を掘り起こし、流通させるチャレンジである。インテリア、小物雑貨から食品まで地方の商品を展示販売しているが、詳しい説明書きはない。ぱっと見て、ああ素敵だなと思ってもらうのが第一で、その後にスタッフが説明すると言う。つまり、地方で育った文化、デザインを流通させたいという主旨だ。東京という情報集積地、しかも和のアートコンセプトに基づいた東京ミッドタウンから、このデザインという情報を発信していこうという試みである。来月、東京立川のエキュートに二号店をオープンさせると聞いている。こうしたデザインというキーワードをもって、情報発信していくことも一つの戦略である。

このように情報を集積し、受発信するメディアセンター、この情報引力都市東京には世界中からの多くのアンテナショップが集まっている。世界のインポートブランドが銀座に集まっているのも情報の受発信装置としての意味を踏まえている。私は鳥取県の産業活性、アンテナショップの検討を含めた戦略会議の委員を務めており、平井県知事のマニフェストにある課題を他の委員と共に先月会議を持った。日本で一番人口の少ない県で、おだやかな県民性や日本そのものの懐かしい生活が残っていて、沖縄と共に好きで以前からよく行っていたが、ことビジネスになると特徴が散逸している感のある県だ。情報都市東京で過剰な情報競争にどう打ち勝っていくかが課題であり、一工夫、一加工することが大切であると会議では述べた。東京はあらゆる情報をブラックホールのように飲み込み、咀嚼・消化し、発信していくとてつもないメディア都市である。飲み込まれ、消化されないまま沈殿し、誰も知らないまま終えるビジネスがいかに多いかを私は実感している。この半年、鳥取県を戦略的に浮かび上がらせるプラン、つまり都市生活者の興味の中心点を射抜くことに精一杯の努力をつくしたいと思っている。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:27Comments(0)新市場創造