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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2007年07月22日

かっわいい〜ぃ現象、その後

ヒット商品応援団日記No186(毎週2回更新)  2007.7.22.

「かっわいい〜ぃ」という言葉が社会の表舞台に登場したのは、おそらく主婦の友社が1996年に創刊したCawaiiによってだと思う。いわゆる読者参加型の高校生に向けたファッション雑誌であるが、右肩下がりの渋谷109をV字回復させるという大きな役割をエゴイストと共に果たしたメディアである。創刊当初からの読者モデルで、カリスマというキーワードを一般化させたエゴイスト初代カリスマ店長渡辺加奈さんの後を引き受けた森本容子さんもCawaiiの読者モデルの一人であった。さて、当時のCawaii読者は20代半ばから後半の世代となっている。

ところで、「かっわいい〜ぃ」という言葉は何を指して表現してきたであろうか。人によって様々な感性世界があると思う。「おもしろい」「きれい」「「いとおしい」「愛らしい」、あるいは「チョットセクシー」といった言葉で表現されるが、物語消費時代における視覚の言語化現象であると私は見ている。つまり、明確に言語化できない一種の「もどかしさ」から生まれた感情表現ということだ。複雑な文脈や知識、理屈を排除した自己表現世界である。この世界を進めて来たメディアの一つが携帯電話である。「写メール」「絵文字」といったビジュアルコミュニケーションはまさに言語の視覚化である。最近の女子高生のメールを見てもそのコミュニティ以外の人間が見ても判読不可能な秘密のコードが行き交っている。
こうした「曖昧な」気持ちや感情を語らせるにはビジュアルは最適である。「かっわいい〜ぃ」という言葉の持つ世界も、この「曖昧さ」から生まれたものだ。雑誌Cawaiiのネーミングをローマ字にしたのはこうした背景からだと思う。

1990年代後半から、この「かっわいい〜ぃ」という言葉はあらゆる世界へと浸透していく。昔はおまけであった「カプセル・トイ」や「フィギュア」へ。テディベアー等のぬいぐるみ、あるいは商品パッケージやCMにも多くの「かっわいい〜ぃ」キャラクターが登場した。こうした「かっわいい〜ぃ」という「曖昧さ」は、中間、境界、なんとなく、といった意味の世界として登場する。何がかわいいの、どこがかわいいの、といっても意味はない。女性ならば誰でもがヴィトンのバッグと共に知っている村上隆氏の活動を見ていけばよく分かる。アニメや漫画といったサブカルチャーを積極的に取り入れ、新しいポップアートの世界を創造している。村上隆氏が主宰する「カイカイキキ」(http://www.kaikaikiki.co.jp/whatskaikaikiki/)の活動も「かっわいい〜ぃ」クリエーションと言えなくはない。

「かっわいい〜ぃ」という言葉の裏側に自己愛を見る事も可能であり、また日本語理解の足りなさを指摘することも必要である。ただ、コミュニケーション、表現という視座に立つと、過剰なまでの情報の中で、「かっわいい〜ぃ」は直感的表現そのものと言える。過剰な情報の時代にあって、よく言われるデザインの時代とは直感の時代のことだ。そして、その直感はアートとサブカルチャーとの中間、狭間から生まれている。和と洋、日常と非日常、女と男、人工と自然、従来異なる分野の狭間に新しい何かが生まれてくる。「かっわいい〜ぃ現象」という視覚≒言語の表現世界はこれからも進化していくと思う。コラボレーション、協業、共創、といった方法が増々重要な時代だ。(続く)

「人力経営」の一般書店でのお求めですが、紀伊国屋書店さんが力を入れていただいており全国22店で取り扱っています。http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/443410800X.html
  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:40Comments(0)新市場創造