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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2007年06月24日

裏が表へ

ヒット商品応援団日記No178(毎週2回更新)  2007.6.24.

北海道ミートポーク社による牛肉偽装事件がまた起きた。牛肉コロッケは年間60万個製造しており、こうした偽装はかなり前から行われて来たと報じられた。記者の質問に答えて「混ぜれば分からない」と田中社長は答えていたが、またしても「見えない世界」における詐欺行為で一年前から内部告発されてきたことが表へと出て来た事件だ。
ちょうど同じようなタイミングで東京渋谷では、シエスパという女性専用スパで天然ガスによるものと思われる爆発があり3名の死者が出る事故があった。まだ原因は明確にはなっていないが、地下1500mからくみ上げた温泉水には天然ガスが含まれており、それらを分けるガスセパレーターが誰の目にふれない地下にあり、そこにたまったガスが爆発したと推測されている。都会のコンクリートで覆われた裏側の大自然が表へと奔出したということだ。
この2つの事件、事故に共通していることは、「安くて美味しさの裏側」に偽装・嘘があり、「便利な癒しの裏側」に大きな危険が隠されていたということである。

談合、裏金づくり、裏側で行われて来た多くの犯罪が検察あるいは内部告発、一部のジャーナリストによって表へと出て来たことは周知の通りである。こうした犯罪・事件とは異なるが、裏に潜んでいたモノや事柄が表へと出て来ている。観光ルートから少し外れた横丁・路地裏の散策ブーム、知る人ぞ知る隠れ家ブーム、裏であった賄い食が表メニューへ、地下に潜んでいたオタクは映画「電車男」やアキバ系&メイドブームによって表へと出て来た。地方の隠れた物産が人気となり、銀座の沖縄わしたショップを筆頭に売上は好調である。リニューアルオープンした新宿高島屋のデパ地下には100店もの地方銘菓が集積し人気となっている。
こうした傾向はまだまだ知らないことがあるという「未知への興味」であり、口コミといった情報によって促進される。マス消費から地域や特定希少な裏消費への転換だ。

見えているようで、実は見えていなかったとの気づきが始まった、あるいは見ないようにしてきたことへの反省と考えるべきである。誰も知らないところで細々と愚直にやってきたことが、表へと出てくるということだ。サプライズという学習を経て、外側では見えなかったことを見えるように見えるようにと想像力を働かせるように気づき始めたということである。こうした動きは「昭和回帰」「ふるさと回帰」といった回帰現象にもつながっている。見るために過去を遡り、今を考えようとしているのだ。あるいは特に地方という未知への興味も根っこのところでは一緒である。いかに知らないことが多かったかという自覚であり、自省でもある。
裏はいづれ表となる情報の時代である。そうであれば、隠し先送りするのではなく、先行して公開することが重要な時代だ。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:44Comments(0)新市場創造