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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2007年06月03日

間(ま)の時代

ヒット商品応援団日記No172(毎週2回更新)  2007.6.3.

間(ま)という言葉には多くの考えを誘発させるものがある。人と人の間だから「人間」。時と時の間だから「時間」。空と空の間だから「空間」。更に言えば、テーマをことばに置き換えて言えば、言葉と言葉との間、行間ということになるだろう。ここ数年、Jpopで芽を出した平井堅や森山直太朗といった言葉を生かした独唱人気も当てはまるかもしれない。齋藤孝さんのベストセラー「声に出して読みたい日本語」における暗誦・朗誦文化も当てはまる。間をリズム、テンポに置き換えてもいいし、日本人が創造した感性の一つだと思う。

つまり「今」という時代はあらゆることにおいて、「境目」が無くなっているということである。その一番大きいのが「時間」である。四季はほとんど感じること無く、24時間化という言葉の如く、夜もまた昼のように明るい。最近のデータを確認はしていないが、従来TV視聴率が低かった深夜時間帯は8時台のゴールデンタイムと言われた視聴率に迫る番組も出て来ている。同様に、早朝という時間帯も活動は活発である。働き方、働く時間帯、更には総労働時間も変わってきているのだ。そうした背景にあって、間が極めて重要なものとなってきている。気分転換、癒し、そのために一呼吸置いて、一拍置いて、といったことが不可欠になったということだ。
飲みニケーションを始め、好きなスポーツや趣味に興じることが盛んなのは、無くなった境目を意識的に作ろうということである。最近の、バラエティ番組、お笑い番組が多くなったのも、「笑う」ことによって気持ちを転換したいからである。

この間はお気づきのように和の世界につながるものであるが、日本の芸能は全てこの間を土台に固有な文化となっていることは周知の通りである。和歌から始まり、能、狂言、歌舞伎、相撲、川柳、落語、・・・伝統芸能と言われているもの全て間の美学といってもよい。私は建築家ではないので分からないが、茶室のもつ空間の美学、禅語の「無一物中無尽蔵」という「引き算の美学」は間のかたちづくりであったと思う。京都町家や古民家ブームばかりか、単なるインテリアを超えて一般住宅の中にまで取り入れ始めている。

よりビジネス現場でいうと、間は「サービス」の原則そのものである。即対応、クイックレスポンスだけがサービスではない。懐石料理ではないが、顧客がどのように楽しんでいるかを考えながら、暖かい物は暖かいうちに、冷たい物は冷たいうちに食べてもらう、見事な間がある。間という時間はサービスの原則となっている。今、ビュッフェスタイルが人気となっているのは、好きな物をちょっとづつということとともに、顧客の食の取り方という間を顧客にまかせているからである。押し付けがましく、どんどん出されるレストランほど嫌なところはない。サービス価値とは、心地よい間を提供することに他ならない。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:39Comments(0)新市場創造