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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2007年05月16日

今、地方ビジネスが面白い

ヒット商品応援団日記No167(毎週2回更新)  2007.5.16.

今、新しい芽が続々と地方から生まれている。コミュニティの時代が来ると、何回も私は書いて来たが多くの領域でその芽を見ることができるようになった。元西武の石毛宏典氏が理想を持ってスタートさせた四国アイランドリーグ(http://www.iblj.co.jp/)に続き、北信越BCリーグ(http://www.bc-l.jp/)もスタートした。裏金問題を始め金属疲労を起こしているプロ野球に一つのビジネスモデルを提供していると私は思っている。誰も注目しなかった四国アイランドリーグは四国という小さな400万人のマーケットを対象とし、選手の給与も15〜20万、球場使用料も安くするために小さな球場を使い、年間経費は1.5〜2億円以内で実施していると聞く。全国一律同じように行う量を求めるビジネス、マスビジネスの限界をコミュニティという小さな単位によって超える試みだと思っている。

先行して成功しつつあるJリーグも独立リーグのチームも地元密着という「おらが町のチーム」である。昨年、福岡県岡垣町にある「野の葡萄」を訪問したが、代表である小役丸さんは「どこにでもある田舎をどこにもない田舎にしたい」と語ってくれたが、まさに「おらが田舎」の素敵なレストランである。Only Oneを目指せ等と理屈っぽく言わなくても、生まれ育った地域が好きな人であれば至極当然なことだ。創業者が思い描いた理想・志しを継承する人で、自らを「こって牛」に喩えたシャイな経営者である。農業の現場に身を置きアイディア・工夫の中からメニューが生まれる。
ところで販売台数でGMを抜き、2兆円を超える営業利益を出し世界のトップとなったトヨタは名古屋豊田市というおらが村の自動車メーカーである。トヨタ方式については何十冊と書籍が出されその成功要因が机上に出されているが、「カイゼン」というQC活動は日々の小さな改善による積み重ねによるもので、ある意味農業における土壌改良のようなものである。

前回テーマパークビジネスについて、人工的な刺激をエスカレートさせるようなテーマではなく、「自然物語」が中心テーマになると書いた。5/13午後6:30〜のTBS「夢の扉」で福島の「アクアマリーン福島」という水族館の生態展示が放送されていた。旭山動物園の行動展示と同じで、私の言葉で言うと「野生展示」であるが、年間91万人の集客をはかっている。丁度親潮と黒潮がぶつかり合う潮目が福島沖にあり、この潮目を水族館に再現した地域固有の水族館である。沖縄本部には「美ら海水族館」があり、沖縄固有の珊瑚礁やマンタに出会える。それぞれ地域固有の自然や文化をテーマ資源としてビジネス化している。今年2月、その沖縄に行き現地の人と昨年オープンした「沖縄そば博物館」(http://www.okinawa-soba.net/index.html)について話しをしたことがあった。あちらこちらと探して食べ歩くことなく、人気店8店の沖縄そばが食べられることは良いことである。しかし、美味しいモノは食べることができるが、残念ながら沖縄固有の食文化を食べるところまではいってはいない。国際通りは修学旅行の中学生向けのお土産店ばかりで、同じようなモノしか売られていない。通りにはかじゅまるの樹1本すら植えられていない。しかし、国際通りの裏手にある久茂地小学校には生徒達が植えたのであろう様々な花がいつも咲いている。最早表通りには沖縄はないということだ。

沖縄もそうだが、私が住む東京、よく訪れる京都、札幌の表通りには既に地域固有の文化はない。表通りには全国一律、標準化、平均化したブランドやモノしかない。勿論、そうした先行する世界の今を映し出す情報は、東京ミッドタウンや新丸ビルを覗けば手に入れることはできる。そして、数ヶ月遅れで地方都市の表通りに出てくるだろう。そうした表通りから離れ、中通りから裏通りへ、その横丁、路地裏で初めて地域固有のものと出会える時代だ。今ある散歩ブームの本質はここにある。そして、こうした裏通りで注目されTVなどで紹介されても即マス製品化してはならない。マス市場の形成は顧客要望の結果であり、勘違いしてはならない。小さな固有ビジネスこそが求められているのだ。いずれにせよ、裏日本、日本の岬やはずれ、過去注目されたことのない田舎、そうした地方が今面白い。どうぞ!小さくてもキラリと光るスモールビジネス・面白い商品があったらこのブログで取り上げ、リンクし合って情報を共有したいと思っている。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:48Comments(0)新市場創造