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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

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2007年03月28日

シニアの上質な日常 

ヒット商品応援団日記No153(毎週2回更新)  2007.3.28.

私のブログの内容は、多くのメディアからの情報や実際に街を歩き感じたこと、あるいは人との会話の中から生まれたこと、そうした感じたままを出来る限り書こうと努めている。最近書いたテーマタイトルをこんな風に並べてみたが、まとめではないが共通する何かを見つけてみたい。

パラダイム変化の構図     2007.3.4.
リニューアルを読む    2007.3.7.
世代文化の衝突      2007.3.14.
増殖する妖怪     2007.3.18.
無菌社会        2007.3.23.
和の合理性に着目      2007.3.11.
恋愛市場化の時代       2007.3.25.

この1ヶ月、私の頭に有ったのは都市生活者のライフスタイルにおける「日常」「普通」についてであった。対比的に言うと、1980年代における「非日常」「特別」から、2000年代における「日常」「普通」へとどう変化したのか、これからの変化の在り方を見極めることにあった。今週末に六本木防衛庁跡地に「東京ミッドタウン」がオープンするが、そのテーマは「上質な日常」である。渋谷西武百貨店のリニューアルは「輝きを集めた暮らし」という富裕層への日常、普通がテーマであった。つまり、1980年代と2000年代の生活の「質」はどう変わり、更にどう変わって行くのかというマーケッターとしての興味・関心であった。

前号で書いた「恋愛市場化」という心理市場の進化を踏まえ、金融資産を一番持っている「高齢富裕層」を考えてみたい。既に、お気づきのように未上場株販売や平成電電といった詐欺事件のような「妖怪」が既に出現しているが、そうした犯罪は別にすると、自分自身のことではない回りの人や社会に対する「感謝マーケット」が大きく広がっていることに気づく。子や孫に対する贈与市場や社会への寄付といった既存市場の周辺市場である。
今、東京で小さな話題を集めている寄付事業がある。平成15年度から東京都が行っている「思い出ベンチ事業」である。公園や動物園といった公共の場に記念メッセージを刻んだプレート付きのベンチを寄付してもらおうという事業である。(http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/omoide/index.html
勿論、こうした行政以外にも沖縄では平和祈念の植樹がボランティアによって行われており、こうした「公」に対する貢献は企業単位やNGOあるいは個人ボランティアとして更に進んでいくと思う。

こうした「公」と共に「私」の市場が大きく広がっている。「私」の感謝が向かう最大の対象はなんといっても「家族」である。特に、家族単位を三世代単位として見ていくことがポイントとなる。例えば、住宅や旅はもとより、飲食・レストランといったことまで「家族」「三世代家族」として再編集し直すということである。つまり、三世代単位のスペース&メニューを用意するといったことにつながっていく。最近オープンした「ららぽ〜と横浜」(http://yokohama.lalaport.jp/foursyun/index.shtml)の最大の魅力はそのフードコートにある。従来のフードコートは1社で家族それぞれに向けたメニューを用意するのだが、ここでは専門店が出店するフードコートである。ある意味ファミリーレストランの「次」、上質なファミリーレストラン、となっている。例えば、孫は「山の上ホテル」のオムハヤシ、両親は「南国酒家」の中華、祖父母が「宮川」のうなぎ、といった具合である。勿論、費用は祖父母ということになる。

数年前からシニア向けの「夫婦割」がヒット商品となっている。その一番は周知の映画における「夫婦50割引」で邦画復活の中心顧客となっている。航空会社のJALもビジネスクラスの夫婦割を実施していたり、低迷を続けてきたゴルフ場の復活メニューの一つとなった「ツーサム」の中心は夫婦であった。あるいはJRの「青春18切符」の利用顧客はシニア個人もしくは夫婦利用となっている。こうした「夫婦単位」という着眼ビジネスと共に「三世代家族」着眼に新しいビジネスが生まれてくる思う。
また、単身シニアがこれからも増加していく時代だ。シニアのお見合いビジネスが盛んであるが、具体的な再婚へと向かわなくても「出会い」があればそれで良しとするシニアが多い。つまり、疑似夫婦、疑似家族づくり、ひととき夫婦、ひととき家族といった着眼である。テーマを持った集い、沖縄には今なお残っている「模合い」(講の一種)のような「場」がひととき家族、ひととき夫婦の役割を果たして行くことになると思う。テーマをもった会員制クラブ、社交ダンスなんかも更に流行って行く。
シニアにとっての「上質な日常」とは、感謝という気持ちが夫婦や家族といった身近な人に向かう。別な表現をするならば、人との「思い出の時づくり」、「思い出の場づくり」がシニア市場の大前提になるということだ。今、桜の季節で花見に出かけると思うが、旅であれ、クラブ活動であれ、家族との食事であれ、寄付活動であれ、全ての日常が「思い出づくり」となる。この「思い出づくり」の周辺にヒット商品が生まれてくる。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:32Comments(0)新市場創造