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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

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2006年12月13日

景気と消費 

ヒット商品応援団日記No124(毎週2回更新)  2006.12.13

このブログを読んでいただいている方の多くが今後の景気について関心があるので、ちょうど来年度の政府予算案が作られつつある時なので、景気(世の中)と生活者経営(消費)について考えてみたい。報道による限り、来年度の政府予算案の中心は企業減税である。800数十兆の借金を背負った政府にとって、経済成長による法人税増収にウエイトを置こうとしているようだ。以前、いざなぎ景気と今回の景気とを比較したので繰り返すことはしないが、日本のGDPの60%近くが消費によることを考えると、ここ当分は消費面での景気の活性は望み得ないと思う。これが結論である。

というのも私たちマーケティングを専門とする人間にとって、必ず目を通す基礎情報に総務省が出している「家計調査」がある。これは毎月家計の支出内容をミクロデータとして公開されている報告である。小売業の売り上げがマイナスであることは前回書いたが、同様に家計支出も10ヶ月連続してマイナス(前年同月比)である。日銀は天候不順を主要な理由としているが、これは表向きの公式発表にすぎない。当たり前のことで、収入が増えない限り、消費は伸びない。グローバル競争下においては、人件費抑制に走らざるを得ない状況で、ごく一部の企業だけが「人」が経営にとって大切であることから労働配分率をアップしているにすぎない。ただ、企業業績が良いことは事実で、雇用者数(人件費の支払い総額)は増加しているものの、正社員の人件費はほぼ横ばいという状況だ。但し、正社員でも成果報酬制度により、格差がまた正社員の中でも生まれている。更に、今月支給されたボーナスの使用についてもその多くは貯蓄もしくは投資に向けられると経済アナリストは分析している。

消費は、将来の収入に対し、楽観的であるか、悲観的であるかによって決まる。昨年の株式市場は約4割ほど株価が上昇し、それなりに投資家は恩恵を受け消費に回っていた。しかし、今年の株価はライブドア事件もあり横ばいといったところで、米国の景気が大きく上がる要素もなく、来年日本の株価が上がる要素は少ないと考えられている。また、将来間違いなく消費税がアップすると多くの人は考えており、老後の年金も不確実である。2007年問題という団塊世代の大量退職に代わって、多くの若い人材の採用という明るさがある反面、1990年前後に採用された人材が重荷になっており昨今の「ホワイトカラーエグゼンプション」の採用によって人件費の抑制をはかる企業の動きもある。つまり、1990年代半ばまであった「総中流意識社会」は完全に消滅したと見なければならない。よく言われている二極化した所得格差、消費格差はこれからも拡大していくと思う。というのも冒頭取り上げた「家計調査」の対象世帯には、いわゆるフリーターなどの単身世帯が入っていないため、数字以上に消費が低迷していることが考えられる。更に、夕張市の破綻のように特に地方と都市との格差は更に実質的に広がると思う。正確なデータを取っていないのでこれは推測であるが、地方の地銀や信用金庫の不良債権処理が進まず、貸し出し抑制が強まり、個人、零細・中小企業の倒産が進んでいると聞いている。増々、都市と地方との格差が大きくなり、更に消費面に現れてくると思う。
こうした自己防衛的市場が拡大していく対応であるが、キーワードは「小」だと思う。例えば、従来は量やサイズを半分にしていたが、1/4へ、場合によっては1/8へと変えていくことだ。時間サービスもスペースについても同様である。全てを今より小さくし、消費の「入り口」を広げることである。例えば、1個400円のスイーツを売っていた場合、小さくして3個300円セットで2人に売る工夫である。当然手間がかかるが、この時代の自己防衛市場を突破するには当面こうした方法しかない。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:29Comments(0)新市場創造