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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

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Posted by さぽろぐ運営事務局 at

2006年12月03日

過敏反応市場   

ヒット商品応援団日記No121(毎週2回更新)  2006.12.3.

このブログを書いて1年3ヶ月になる。おそらく具体的に着目すべきマーケティングテーマ&方法は全体の50%位は占めていたと思う。その内、50%位は「こころ」の問題、生活者のこころの置き場所や揺れ動くこころの問題解決であったと思っている。そうした世界を心理市場と呼んできたが、経済を始め、都市と地方、情報の使用といった様々な格差を背景にマーケティングで解決できる世界をより複雑化させていた。これが素直な私の実感である。特に、東京と地方とでは市場として全く異なるもので、東京のように消費が生産であるようなあり方と、生産も消費もする地方とは異なる消費性向を見せる。セブンイレブンのおでんが地域によって味を変えたり、以前からそうであったが沖縄と本土の味は変えているといった違いではない。決定的な違いはそこに住む生活者の「こころ」のあり方である。都市化という怪物によるこころの疲れや場合によっては鬱といった病気にまで及ぶ精神的な市場の違いである。

今から10年ほど前になるが、駅のショッピングセンターで来館者調査をしたことがあった。ちょうど顧客満足がテーマとなった時期である。数年間、定点観測したのだが、○○店の店員から睨まれた、あるいは無視された、といった「何気ないこと」へのクレームが年を追う毎に増えていった。一方、あの一言がうれしかった、名前を覚えていてくれた、といった小さな気配りに大きくこころが動かされた、といった感謝の声も同時に増えていった。その時の分析だが、気持ちが大きく購買を左右する心理市場へ入って行ったなというのが答えであった。良くも悪くもこころが大きく揺れ動く時代がやってきたということである。その時のキーワードが「敏感顧客」であった。バブル崩壊後も世帯収入は増えていくが、1997年をピークに以降からは下がり続け、金融不安があちらこちらで起こり、少年による凶悪犯罪も増加し、・・・・・不安の時代に入った頃である。こうした不安を背景に、あらゆることに敏感に反応する顧客が出現してきた訳である。

そして、「敏感」は過剰な情報によって更に進み、神経過敏症顧客とでも呼ぶような一種の脅迫観念をもつようになってきた。特に、健康不安の場合などはサプリメント依存症のように「何か」に依存、頼る傾向となって現れてくる。例えば、都市女性=ひとりリッチ市場とは、反面孤独で何かに頼らざるを得ない市場である。つまり、消費面で旺盛にならざるを得ないということだ。
勿論、そのこと自体は決して悪いことではない。しかし、オレオレ詐欺までいかなくても、「神経過敏症市場」に対し、不安を過剰に煽るようなことであってはならない。しかし、情報の時代にあっては、その動きを止めることはできない。「うわさの法則」でも書いたが、情報は勝手に「一人歩き」するのが本質である。しかし、この数年間多くの情報体験を通じ学習してきた。その学習結果得られたことは、情報発信者の徹底した「情報公開」と、自らの「体験実感」の必要性である。つまり、商品やサービスを提供する側はこの2つを徹底することだ。例えば、過敏症顧客を前にした時、あえて一定以上は売らないということも必要になる。特に、情報リテラシーといった情報を使いこなすための方法すらも提供しなければならない。そうしたことを含め、顧客にとって今「何」が必要なのかという、顧客主義の原点に立ち戻ることだ。(続く、今週は7日に更新します)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:25Comments(0)新市場創造