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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

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2006年09月27日

ケーススタディ:都市市場戦略 

ヒット商品応援団日記No102(毎週2回更新)  2006.9.27.

以前、「消費都市TOKYOでござる」というタイトルで江戸時代の江戸と比較しながら、新しい、珍しい、面白い、情報とサービスの集積力について書いたことがある。(http://remodelnet.cocolog-nifty.com/remodelnet/2006/05/index.htm lNo62 2006.5.10.)今回ケーススタディのテーマとしたのは、「これから」の東京という市場認識についてである。先日、全国の地価について発表があった。TVニュースでは、地方(北海道ニセコ)でも地価が上昇している所も一部あるが、総じて「東京一極集中」とのコメントであった。しかし、格差社会のところでも触れてきたが、ていねいに見ていけば東京の中でも格差は生まれている。ここではその詳細については書かないが、都市生活者のライフスタイルに次なる本質を踏まえた提案を行っている2つの商業施設について考えてみたい。実は、立地も業態も異なる2つの商業施設であるが、共通している市場着眼が「時間」である。私のことばでいうと、「生活時間割」に対する新たな提案ということになる。

その一つが、今秋東京豊洲にオープンする「アーバンドッグららぽーと豊洲」である。(http://www.mitsuifudosan.co.jp/home/shopping_gourmet/new_project/toyosu/toyosu/index.html)石川播磨重工のドッグ跡地につくられた広大な再開発プロジェクトで、銀座までわずか3駅という都心湾岸エリアの中心となる「街」である。コンセプトは「ライフ・ソリューション・コミュニティ」である。都市生活者にとって、一番解決して欲しいのが「時間」である。以前、このブログで時間着眼について触れたことがあった。「省」時間と「賞」時間(お気に入り時間の意味)であるが、この街には立地によって通勤や買い物といった移動に要する時間は「省」時間となり、その分自由時間が増え、生活時間割を楽しむことができる街、というコンセプトである。ウオーターフロント、緑を配した街、存分に降り注ぐ光、早朝のジョギングや散歩時間が楽しくなる、そんな街である。また、都心までわずかであり、おしゃれなサイクリング通勤が似合う、そんな街である。そうした新しい都心のライフスタイルをリードするのが商業施設である。手に入れた「自由時間」をどう使うかが、商業施設の主要な役割でありMDコンセプトとなる。当然、従来のような「物販系」の専門店は少なく、カルチャー、サービス系の施設が中心となる。おそらく書店一つとっても「省」時間型の書店にはならない筈である。また、「賞」時間(お気に入りの時間)を100%生かすための、ドッグ跡を生かしたウオーターフロントレストランやウイークエンドリゾートエステなどが導入され話題を呼ぶことになると思う。

さてもう一つが「賞」時間に対する、「省」時間に着眼した商業施設の業態である。つまり、移動のコアとなる駅におけるサービス開発である。その代表例が「駅中」というコンセプトで、JR東日本が開発した「ecute」(http://www.ecute.co.jp/)である。わざわざデパ地下に行かなくてもパンや総菜、スイーツの専門店があり、朝・昼・夜といつでも使える飲食施設から、ドラッグ、書籍、フラワーショップまで、カジュアルで手軽な専門店集積ゾーンが駅に直結している。まさに「省」時間型のサービス業態と言える。こうしたJR東日本の開発の後を追うようにしてオープンしたのが、表参道ヒルズのオープンに合わせた「エチカ」(地下鉄東京メトロ表参道駅)である。エチカも駅中と同じコンセプトでつくられており、今後も数多くつくっていくと聞いている。こうした「省」時間型サービスの徹底さは、同じJRグループの商業施設、ポポシャポーにおいても、始発から終電までいつでも利用できるようにオープンするテナントを増やしている。つまり、駅が大きなサービスコンビニエンスストアになろうとしている。

この両極端ともいうべき、しかし異なる2つの時間を生活の中に取り入れざるを得ない都市生活者、そうした顧客と向かい合う都市流通に対し、どう商品開発、業態開発をしていけば良いのかが課題となっている。そこで、皆さんと一緒に1つのケースについて考えてみたい。一番日常的で回数多いのが食である。「賞」時間型のららぽーとでは、「食という時間を楽しむ」ことがキーワードになる。導入される食品スーパーではメイン食材もさることながら、例えば食前、食中、食後のワインやチーズなどが用意されるであろう。手作りカレーなどの場合は多くの香辛料が用意され、おふくろの味になるようなレシピサービスやプロ仕様の調理器具なんかも流行ると思う。ファミリーであれば、例えば鍋などの場合、具材は半加工食材が選択できるようなものであったり、美味しい出汁をとるための塩乾物なんかもこだわり商品が用意されるであろう。
さて、「省」時間を必要とする駅では、スピード着眼が全てとなる。これ一杯で、これ一つで、これだけ食べれば、一日に必要な栄養素、繊維質が取れ、しかも低カロリーといった商品・サービスとなる。サイズはより小さく、固形物というより流動食のように飲めばよいというありかた、具沢山おにぎりとかサンドイッチ、ジュースやスープ、和だと汁物となる。こうした時間着眼のもとで、カジュアルな店づくりで急成長したのが「スープストック東京」である。また、既にJR東日本では新橋駅や市川駅に黒酢バーを出店させ人気となっている。まだまだ、旧来ショップの多い駅であり、多くの提案が望まれていると思う。
こうした2つの「時間」着眼による商品化、サービス化が新しいライフスタイルを創っていくこととなる。しかし、地方企業にとって都市生活者研究が圧倒的に足りないと思う。どの市場を顧客とするのか、ここからスタートすることが極めて重要な時代となった。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:42Comments(0)新市場創造