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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

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Posted by さぽろぐ運営事務局 at

2006年07月05日

潮目が変わる 

ヒット商品応援団日記No78(毎週2回更新)  2006.7.5.

小泉総理の訪米、プレスリーの聖地訪問におけるパフォーマンスも強いインパクトのある劇場演出とはならなかった。ましてや日本への帰国当日、元首相である橋本龍太郎さんの突然の逝去によって、小泉さんのパフォーマンスが対比され、ひと頃の驚きは単なる軽さへと変わってしまった。昨年の衆議院解散について、唯一正確に指摘していたのは天野祐吉さんであった。TVキャスターの質問に答え”あれは猫だましでしょ”と相撲の一手をもって喝破したのだが、この一年で私達の「感じ方」が180度変わったと思う。私は80数%の高い支持率を得た5年前の小泉総理誕生を、失礼ではあるが一つのブランドとして見立て、そのブランド戦略を分析をしたことがある。(http://remodelnet.cocolog-nifty.com/remodelnet/2005/08/index.html)その分析の結論であるが、ブランドとして確立したその多くの創業者は、奇人・変人と呼ばれており、社会的事件といわれるようなニュースを継続的に流し、話題を常に喚起している。シャネルもロレックスも、ソニーの創業者である井深さんも、盛田さんも、あるいはHONDAの本田宗一郎さんも皆奇人、変人であった。小泉劇場もまさに、同様の戦略をとっており、おそらくこの9月の次なる総理候補者への「バトンタッチ劇場」が最後になると思う。どんなラストシーン、劇場のエンディングとなるかはわからないが、「潮目」が変わってきている。その潮目とは、劇場型コミュニケーションから、日常型コミュニケーションへの転換である。別の言葉でいうと、メディア(情報発信)コミュニケーションから、リアル(対話)コミュニケーションとなる。人工的エンターテイメントから自然のエンターテイメントへ、仮想現実から体験現実へ、極端からバランスへ、刺激から穏やかさへ、軽さから奥行へ、・・・・・・キーワード的にはこうした劇場型から日常型への変化が加速していく。
ところで地域ブランドの成功例といわれた夕張メロンの地である夕張市が財政破綻をした。632億円という膨大な債務に誰もが驚いたことと思う。そして、「メロン城」をはじめアミューズメントパークがつくられていたことに驚きを禁じえない。同じ北海道の旭山動物園と比較してみると、多くの点で「違い」が見えてくる。周知の旭山動物園も来場者の減少により閉園する瀬戸際までいった施設である。再建についてはテレビをはじめ報道されているのでここでは説明しないが、夕張市と比較すると違いが分かる。
■夕張市/遊園地を含む石炭の歴史館、メロン城(醸造所)といった人工的エンターテイメント施設。
□旭川市/(旭山動物園)動物の本能をリアルに体験してもらう自然のエンターテイメント施設。
仮想現実のエンターテイメント世界を提供して唯一成功したのはディズニーランドである。しかし、来場者数の減少に歯止めをかけるために、今もなお新たなアトラクションを増やし続けている。今から、5年程前に、私もあるバブル期につくられた地方のテーマパーク再建のために4〜5回現地を訪れプランを練ったことがある。作られた「箱もの」の活用に、あらゆる可能性・アイディアを駆使し、再建プランをつくったが旭山動物園のように好きを超えて死にものぐるいになって行動する人がいなかった。こうしたバブルのつけとでもいうべき施設は「塩漬け」にされ、あるいは廃墟となったテーマパークは全国至る所無数にある。これから、多くの地方は補助金が削減され、財政的には大変な時代を向かえる。どこも観光産業化と地場企業の活性がテーマとなっている。前号で、私は「削ぎ落とし、引き算をし、空けてみて、それでも残るもの、それは本質であり、本物であると思う」と書いた。観光産業で言えば、旧来の名所旧跡的団体観光から、その土地ならではの歴史の堆積した固有な生活文化個人観光へと変わっていくと考えている。その観光の中心は団塊世代であり、2007年以降、一斉にその旅が始まる。そして、地方のごく日常の商品から土産物を入り口にヒット商品が生まれてくるであろう。なぜなら、地方にとっての「日常」は都市生活者にとって未知の「新しさ」であり、小さくても奥行きのある文化である。但し、前号の最後に書いたように「道草」に耐えられるだけの、「感じ」とることができる「何か」を持っている商品ということになる。夕張市のような「箱もの」施設ではなく、その土地その土地ならではの固有な生活文化、日常の中にヒット商品が生まれる。潮目が変わったのだ。(続く)

追記  6月18日以前のブログをご覧いただく場合は下記のアドレスにアクセスください。http://remodelnet.cocolog-nifty.com/remodelnet/  


Posted by ヒット商品応援団 at 14:06Comments(0)新市場創造